自己の言語回路からの自由へー九鬼周造著『日本詩の押韻』私解ー/狸亭
 
生の「生き方」と死に至る「時間」
との関係のように読めるのだ。「藝術の本質は内容と形式との調和統一に存するもので、
藝術の内容は藝術をしてふさわしい形式を備へなければならない。形式上の束縛は藝術に
は或る意味で本質的のものである。」という文章は「藝術」を「人生」と読めば、より味
わい深いものとなる。
 
私が詩における韻律の問題に捉えられたのは詩誌『中庭』創刊号の梅本健三の論文「よ
くみる夢『海潮音』が口語押韻訳だったら」である。ヴェルレーヌの詩の構造を詳細に解
明したこの論考の−前置き−の記述「現代日本語の押韻定型ということに、何か疑問を感
ずるとか、反感を覚えるとかいう人た
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