自己の言語回路からの自由へー九鬼周造著『日本詩の押韻』私解ー/狸亭
るしかないと思っている。「僕の前に道
はない/僕の後ろに道は出来る」のである。いや、微かな道標がないわけではない。九鬼
の『日本詩の押韻』をはじめ、現代詩文庫『中村真一郎詩集』巻末の詩論「押韻定型詩
三十年」他、梅本健三の『詩法の復権』及び飯島耕一著『定型論争』である。
私も「広義における自由詩」の「立場に対して抗議をするものではない。寧ろ自由詩と
律格詩とは相竝んで発達して行くべきものと信じてゐる」のだ。私は私自身の問題として、
自分の詩の回路を確立するために、その方法の一つとして、今は押韻定型詩を試み始めた
ということである。正直に言って、九鬼周造をはじめ、中村真一郎、そして梅
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