夏の日 一/龍二
 
ど、血はそれほど出なかった。保健室で消毒液だけ貰い、後は放って置いた。いつも、僕は「何か言え」だとか「泣け」だとか言われるが、こういう時に言うべき言葉や泣く方法を忘れてしまった。彼等の望む事を出来ない、僕には供給が無い。彼等は、永遠に水の出る事の無い蛇口をひねっている様な気がして、そんな風景を少し想像して、少しだけ笑った。

昼食は屋上で食べる、雨の日は屋上の扉の前の踊り場で食べる事になっている。たまに誰かが僕と同じ様に食事をしにくるくらいで、後はほとんど閑散としていて、ゆっくりとする事が出来る。今の様な気候だと、日陰を選ばないと、照りつける日差しのせいで、かなり居心地が悪いけれど、あとは至っ
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