夏の日 一/龍二
えてくれる場所がある。いつも、僕は生き物を埋める。墓標を立てる事は先生に禁止されているので、僕は土で汚れた手を洗う為に水道へ向かい、手に付着した土を洗い流した。先生はいつも、怪訝な顔をして、二階の喫煙室から僕を見つめている。体操着を着て授業を受けている生徒は僕一人だったけれど、もう注意はされなくなってしまった。僕は空気だ。きっと見えないんだろう。
休み時間になると、僕はよく殴られたりする。でも、痛いとは思わないし、悲しいとも別に思わなかったので、助けを求めたり、泣いたりした事は一度も無い。痛い事も、助けて欲しい事も、もっと他にある、こんな事じゃない。その日は、コンパスで腕を数箇所刺されたけれど、
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