夏の日 一/龍二
 
死骸が大量に机の中から出てきた。周囲は僕の動きと比例しながら、ざわめきを増していく。それを片付ける間にも、ざわめきは止まらない。僕は自分のシャツを脱ぐと、五匹、生きていて、走り回っていたはずのモノをシャツに包んで教室を出て行った。僕には人が分からないけれど、人も僕の事を分かってはいない。分かり合わなくても良いと思っている、それは仕方の無い事だと、僕は数年前から思っている。僕が踏み潰した蟻の数は二十九匹。僕が見殺しにした生き物の数は三十八匹。僕が土に生めた生き物の数はネズミ達を入れると三十二匹。
校舎の裏玄関を出ると、大きな庭がある。其処には、木々が鬱蒼と茂っていて、雑木林の様な様相で僕を出迎えて
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