「 天使と飛んだ夜。 」/PULL.
いいから。
教えて。
おれを見上げる彼女の目は、まるで硝子玉みたいだった。
一緒なら、飛べるの。
あなたと一緒なら、きっと飛べる。
そんな気がするの。
ねえ。
手を握って。
おねがい。
握った手は、蒼く震えていた。
もっと強く抱きしめて、
息が止まるぐらい、もっともっと強く抱きしめていて。
ひとつの繭のように、
彼女を深く抱きしめる。
いこう。
一緒に。
うん。
一緒だね。
ねえ。
恐くないよ。
もう。
あたし。
誰も恐くない。
屋上から見下ろす下界は、
突き抜けるよ
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