不連続小説 『煙道 2』/クリ
ことなのか。それなら遠慮したい。
しかし葉は普通の煙草であり、喫煙するのは彼らだけであると言う。まあ見ててごらんなさい、と長老。
白髪の老人が煙草の葉を両手で揉み出すとなにやらブツブツと呪いを唱え、禿頭の老人に体を向けた。
両手を杯のようにして煙草の葉を受け取った禿頭の老人はそのまま掌を閉じ、ゆっくりと再び揉み始めた。
しばらくして彼が掌を開くとそこには一本の紙巻き煙草があった、まるで手品のように。
葉を受け取ったときに彼の掌にあらかじめ紙があったかどうかは私たちの一人として覚えていなかった。
髪があった年月よりない時間のほうが長くなってしまったであろうその完璧な禿頭に煙草が押しあ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)