詩人ですもの/佐々宝砂
 
とを言った。ここらへんが私のあほーなところなのだが、実は、何を言われたか覚えてないのである。ああほんまにあほやなあ。とにかくものすごくうまいことを言われた。しかもその「うまいこと」は、見事に脚韻を踏んでいた。で、感心した私は「わあ脚韻踏んでますねーすてきですー」とかなり酔っぱらって言った。すると女性はにっこり笑って答えた。

「だって、あなた、詩人ですもの」

どどどどどんと石礫が私の頭の上に落ちてきた。私は目を丸くして見返したとおもう。詩人会に所属しているのだから、みんな詩人なのは当たり前だが、私はこう平然としかも誇らしく「詩人ですもの」なんて言えない。いまは言えない。詩を書くのは恥ずか
[次のページ]
戻る   Point(13)