詩人ですもの/佐々宝砂
 
岡県詩人会の集まりがあって、真面目な話のあとはいつものように宴会で(しかも宴会場はなぜか結婚式場で)、会長が「おまえなんかやれ」というので、ビールをがばがば飲んでからマイク握って朗読を一発かました。とちらなかったからいい気分で席に戻ると、それまで目立たなかった和服を着た白髪の女性が、

「あなた声が割れてるわよ」「あ、割れてましたか」「ええ」「すみません・・・お聞き苦しかったですか」「何を言ってるかわからないところがあったわ」「すみません・・・どうすると割れなくなるでしょうか」「それはあなた、自分で場数を踏んで練習するのよ」「はあ」

で、それからその女性は、なんだかものすごくうまいことを
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