名付けについて(二流詩人7つの条件補遺2)/佐々宝砂
解し得ないとも思っている。詩や批評を書くという行為は、私にとって、他者を名付けようとすることと同じだ。私は言葉でもって自己と他者を把握し、自己が把握した自己と他者の肖像を言葉でもって他者に示す。しかし、「他者を名付けていいのだろうか」という疑念が私の心に浮かんでやまない。自分自身を規定するのはかまわないとして、他者を定義したり限界を定めたりしてよいのだろうか。私にそんな権利があるか? だが私は「言葉でもって他者を把握する」=「名付ける」という行為によってしか、他者を理解できない。そして私はなるべくなら他者を理解したいのだ。
私はいったいどうしたらいいのか。結論はぜんぜん出せない。私はきっと一
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