きょーふのこんげん/佐々宝砂
し馬内は生きている。どうなってるんだと彼は叫ぶ。自分はまともなのだと主張する。実際彼の肉体はまともに繋がっているのだ・・・ただ、未来と過去に分断されているだけで。
私は、時間と空間、特に空間に関わるネタを怖がる傾向にある。もしかしたら私の母親が悪いんじゃねーか(私が小さいときにSFマガジンに載ってたヨタ話でも教えたんではないか)と思うのだが、小学三年のころ小松左京の「生きている穴」を読んで眠れなくなったのが、空間の異変を怖がった最初の記憶だ。「生きている穴」は空間そのものが癌化する話・・・と言ったらわかりにくいよなあ(笑 簡単に言うとありとあらゆるものに異次元的な穴が開く話だ。壁に開く、地面
[次のページ]
戻る 編 削 Point(11)