名乗りについて(二流詩人7つの条件補遺1)/佐々宝砂
 
とやかく言われても自己をおびやかされないので、自意識過剰にはならない。「自意識が強い」という状態は、「自分がどう受け取られているか、ということを(やたらに)気にする状態(態度)」(新明解国語辞典)のことであって、むしろアイデンティティーが確立された状態の対極にある。

名乗りは自分の限界を定めてしまうことでもあるが、限界を越えちゃいけないというわけではない。名乗り以上に成長して、名乗りが幼稚になってしまったら、成長に応じて名乗りを変えればいいだけのことだ。昔のひとはそうしてきた。そもそも「名乗り」とは、昔々、貴族の成人男性だけが特権的に持っていた実名のことである。子どもは名乗る権利を持たなかっ
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