ただいま、に向けて/霜天
また、ここに夏がやってくる
僕の広げた手のひらの内側
少しうつむきがちな背中にも
広げた葉っぱのトンネル
その先の坂道は空へ消えていく
青い青い夏、遠い遠い世界
少しずつこの街からは何かが剥がれ落ちていく
夏が濃くなるたびに
空は透明になって
街は静かに平らになっていく
蝉の声は何処へ離れていったんだろう
それを追いかける子供の背中は、何処まで小さくなったんだろう
それを何気なく見ていた僕らは、何処まで遠くなったんだろう
気付かない、そんな仕草を真似してばかりで
足元はいつの間にか
足跡だけになってしまった
みんなが、たっぷりと夢を見た後で
この街にも
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