ただいま、に向けて/霜天
 
にも起伏が戻ってくる
それももう、名残でしかない
戻れないことを知ってしまえば
顔を見合わせて笑うばかりで
また、夏になるために
アクセルを踏み込んでいく
飛行する
そんないつかに向かって


ただいまと伝える
徐々に平らになっていくこの街に
人の匂いも、忘れ物ばかりで
懐かしむには少し足りない

ただいま、に向けて
僕は僕らの場所だった夕暮れを
少しずつ掃除し始めている
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