遠い猫/チアーヌ
 
しくなった。
「じゃあ、どうしたらいいの?」
「誰か、貰ってくれるひとを探すとかさ。お前は仕事で知り合いが多いんだから誰かいるだろう」
夫はテレビを消し、今度はゲームを始めた。話は終わり、と暗に言われたような気がした。

夜、寝室にはやはり猫が入ってきた。柔らかくて重い。わたしは猫を撫で回した。
「どうしよう。家で飼っちゃいけないんだって。ところでお前はどこから来たの?」
猫はわたしを見つめている。猫に見つめられるのは不思議な感じだった。
「でもわたし、お前には見覚えがあるんだあ。ね、教えてよ」
わたしは記憶を辿った。
とろとろと眠りに落ちそうになったそのとき、わたしは思い出し
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