遠い猫/チアーヌ
「二週間ずっと秋田にいたんだ。猫なんか連れてこれるわけないだろう」
「え、じゃ、どういうこと」
「聞きたいのはこっちだよ。道具までそろえてさ」
「だって・・・。用意しないと、もう家にいるんだし」
「だから、どうしているんだよ」
「そんなに怒ることないじゃない。そんなに猫が嫌いなの?」
「家の中が汚れるのが嫌なんだよ。猫って毛が散るし、爪を研いだりするだろ」
夫は本当にいやそうに目を細めた。冷たい雰囲気の細い目がますます細くなった。
「でも・・・・」
わたしは何を言ったらいいのかわからなくなってしまった。ぽっちゃりと太った丸い顔の可愛らしい猫が、急にとてもかわいそうに思えて、悲しく
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