遠い猫/チアーヌ
ているのに、猫は良いものを食べているのか、ぽっちゃりと太って、とても人懐っこいのだった。
おじさんとおばさんの家は、かなり最後まで立ち退かないでその場にあった。
子供を育て上げ、30年以上過ごしたであろうその家を、二人は離れたくなかったのかもしれない。
しかし、その家は段々、近所の人に疎まれていった。
どこも行くところがないらしいとか、保証金の問題でゴネているとか、とにかくあまり良い噂を聞かなくなった。
わたしも子供ながらその家の側にはあまり寄り付かないようになった。
猫にも会わなくなった。
時が流れた。
そしていつの間にか、道路は完成していたのだ。
「そうか、お前。お前は、
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