川村 透氏の2作品/Dr.Jaco
しまって、それを「齧る」という「暴力」へ
傾いた。でも暴力はそのレモンの皮の造作であってそれはやさしい。
ぶるぶるっと酸っぱいのが寒いのか、戦慄すべき「君」の内部に触れてしまっ
たのか。
接触が遠回しに実行されつつある、その静かな号砲が「たぷん」って。
無限大の皮の内部への予感が聴こえるのだが、掌の微妙な揺れといった感触と
紙一重なのだ。聴こえたか触れたか分からない程度の静けさが私の親近感を維
持させていた。
そうした紙一重の、聴覚とも触感ともつかないコーラの泡。幼い頃、耳を近付
けた時の、弾ける微細な水滴の感触と僅かなサウンド。
夜は空白の漆黒なのか、黒いどろどろしたもの
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