吉岡実(奇怪な絵画)/岡部淳太郎
 
も、スナップショットの連続のように詩が形づくられているように思える。


四人の僧侶
庭園をそぞろ歩き
ときに黒い布を巻きあげる
棒の形
憎しみもなしに
若い女を叩く
こうもりが叫ぶまで
一人は食事をつくる
一人は罪人を探しにゆく
一人は自涜
一人は女に殺される

(「僧侶」第一章)


四人の僧侶
固い胸当のとりでを出る
生涯収穫がないので
世界より一段高い所で
首をつり共に嗤う
されば
四人の骨は冬の木の太さのまま
縄のきれる時代まで死んでいる

(「僧侶」第九章)


 全九章で構成された「僧侶」の最初の部分と最後の部分である
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