吉岡実(奇怪な絵画)/岡部淳太郎
りんごや梨やぶどうの類
それぞれは
かさなったままの姿勢で
眠りへ
ひとつの諧調へ
大いなる音楽へと沿うてゆく
めいめいの最も深いところへ至り
核はおもむろによこたわる
そのまわりを
めぐる豊かな腐爛の時間
いま死者の歯のまえで
石のように発しない
それらのくだものの類は
いよいよ重みを加える
深い器のなかで
この夜の仮象の裡で
ときに
大きくかたむく
(「静物」全行)}
初めてこの詩を読んだ時、なんて動きのない詩だろうと思ったのを思い出す。もしこの詩の中に動くものがあるとすれば、それは目に見えない「豊かな腐爛の時間」であり、表面に現出していない「
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