ギャルソン/プテラノドン
 
優しくさすってくれる。かと思うと、
隙を見つけてはおれの頭にポマードを塗ろうとする、君は
もう、出て行き給え。といった流れで。
 街へ出て行ったギャルソンは、受話器をもてあそぶ誰かの、
うしろの、雑踏の、あくびのごとき鈍い都市を
カミソリの刃でシュッシュと削って
簡単な約数にしていく。おかげで風通しがよくなったと
シンバル叩いて誉める市長にも―或いは誰しもの守護霊かもしれない
真っ黒なギャルソン、が道端に散り散りといて、
よく働いている。だから、切り切れとなった都市を
ドラム缶に詰めていたのもギャルソン。そいつらを乗せた
駆逐艦はポッポーと、煙を出して
海へ沈めに出航する。
[次のページ]
戻る   Point(3)