遊覧者/人形使い
の天に張られたアスファルトに
落ちることもなくすらりと佇んでみせる中年の男は
強い光に深く陰影を彫り込まれ
青空の深奥に目を凝らしている
色の線、色の広がり、色の奥行き
投げつけられただけの様々の色が
殺しあうことなく一つ残らず生き生きと主張していた
理想郷の青写真である
幾何学図形が
コンクリートや布や液体の質感で
がらくたの城を組み上げており
それは世界の総体の抽象と言えた
―遊覧
これらの絵画が
かつての他人であったものなのか
(そうであるのなら顔(*)に当たるのは
(せいぜい凝った彫りを施した額縁程度の役割でしかないわけだ
世界の主
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