遊覧者/人形使い
わけである
ところで巨大な交差点に辿りつき
どうにもぬぐうものなく酷くずぶに濡れているので
他人の顔を鏡にした焦燥が
汗腺の蛇口をひねり
いくら顔をこすってみたところで
周囲への同化という衝動を剥離させることはできなかった
―変容
こすった手のひらから顔をあげる
兆しのひとつなく視界は暗転し
(その間隔の時間はあまりに感覚から切り離されていたので予測もつかない)
私は唐突に
ただどこまでも続く回廊に立っていた
地球を抱いて
乳色の混沌の海に貧弱な胸まで浸かり
すべてを沈めようとする長い黒髪の少女の陰鬱な視線は
私と絡みあう
逆さの天
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