遊覧者/人形使い
 

―序

不快
不快
それは始原
または未分化の世界
身体を持たぬ亡霊の苦しみと目覚めてから思ったものである
悲鳴を上げる声帯も
じたばたともがく手足も無く
吐き気に応える胃すらもなく
ただ出口の無い不快感がぎちぎちと内側から苛むのである
耐え難い膨張の直感なのである



―目覚め

大きな一呼吸で蘇生
死に似た体験とはよくいったもので
鏡に投影された冷たい汗と土色の肌はまったく泥人形であった神話の時代を思わせる

しかし未だに覚めきらず
鼻筋をのろのろと幾度かこするのだったが虚しく
大脳皮質に乳色の膜でも張っているか
くも膜下にぎちぎちと綿でも
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