言葉の距離/嘉野千尋
文字はその形を失って、小さな点の並びとして映っているのかもしれません。ただ言葉の記された紙だけが、そこに何らかのメッセージが確かに存在することを伝えて…。(2005.3.10)
* * *
いつからか、気付けば自分の内側になんの違和も無く入り込んでいる言葉があって…。これは誰の言葉なのだろうかと、時に首を傾げてみたり。愛した詩人の、いいえ、あの人の……。それとも、わたしは以前から知っていたのかしら。
心に浮かぶ風景をなぞるいくつもの言葉があって……それはわたしの見た景色? それとも誰かの言葉を追体験したもの? ときどきそんなことも考えながら、
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