言葉の距離/嘉野千尋
ら、気が付けば心のうちには、いつでも言葉が溢れていて。(2005.5.某日)
* * *
時間に追われる日々の中で、言葉はゆっくりと失われていくものなのでしょうか。今はとても静かで…、外では変らずに雨音が続いているけれど、カーテンの内側では物音もなく…。
口を閉ざして、沈黙を守ったあの頃。言葉が眠る夜にも、感情はざわめいていました。内側に留まる限りでは言葉はこんなにも自由なのに、なぜ苦しまなければならないのでしょう。
窓辺で死んでいったいくつもの言葉の行方を、わたしは今も知らないままでいる。(2005.6.11)
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