贋者アリスの洞窟の冒険/佐々宝砂
 
き物に過ぎないのだとあたしは知っている。

蜘蛛が好きなの?と緑色のこびとが言った。まだそこにいたのね。

だけど、さあ、顔をあげて、二銭銅貨の唄をうたおうよ。ポケットにはコルトがしまってあるのでしょ、そしてブラックバードには翼がないのでしょ、だけど、ほら、臍からずるずると出てくる白い紐をひっぱれば、これまで見えなかったものが見えてくる。あたしはコアセルベート、どろどろのべとべとのオーガニック・スープ、そしてそこに必要なのは雷なのよ、わかる?

緑色のこびとは、また黙って首を振った。


いとおしい終末よ破滅よ浪漫の屍よ。そんなものはもうない。神も悪魔ももういない。死ねる
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