故郷/櫟 伽耶
 
の時間をもった子供の方が、よっぽど賢いと言えただろう。
そんなことすら気付かずに、子供を見下すことで彼らは自分の立場に安堵するのだ。
そんな大人達を子供の私は嫌っていた。
大人も、子供も、心はススにまみれていた。

私はこの場所が嫌いだった。
汚い街並み、咳き込むような匂い、色褪せた景色。
作り笑いに見ない振り、馬鹿な振り。
周りの子供達の誰もこの状況を疑問に思わないのかが不服だった。
威張りくさった大人達がこの状況をどうにかしないことが不満だった。
土地も人も、何もかもが嫌いだった。

泥にまみれて野山をかけずり回り、花冠を頭にかかげ、星空を見る。
そんなことは夢のまた
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