中古の幸福/後期
ない。
さっきまで感じていたはずなのに。
私は棚を見た。
その中に一つ、
曇った瓶がある。
なぜか気になった。
「これは?」
店主は言った。
「それは売り物ではありません」
ラベルを見る。
そこにはこう書かれていた。
幸福(あなた)
私は笑った。
「冗談でしょう」
店主は肩をすくめた。
「人は大抵、自分の幸福を中古で生きています」
私は何も言えなかった。
店を出ようとしたとき、店主が言った。
「ところで」
私は振り返る。
店主は棚の奥から、もう一つ瓶を取り出した。
今度は黒い瓶
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