中古の幸福/後期
ない歌を口ずさんでいる。
だが、奇妙なことが起きた。
知らない記憶を思い出す。
海の近くの家。
古い犬。
白いカーテン。
それは私の人生ではない。
私は店へ戻った。
「この幸福の持ち主は?」
店主は少し考えた。
「それは売り物ではありません」
「でも、私は買いました」
瓶を見せた。
店主は棚を眺めた。
「それは」
少し考えて言った。
「返品されたものです」
「誰が?」
「さあ」
店主は棚を整えた。
「大抵、亡くなった人です」
「なぜ?」
「幸福のまま終わるのが
嫌だったそう
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