中古の幸福/後期
た。
「中古ですから」
「幸福ですよ」
「ええ」
それだけ言った。
「幸福って、
中古になるんですか」
「人が使えば、
大抵そうなります」
なるほど、と思った。
私の幸福も、どこか擦り減っている。
いや、擦り減るほど使った覚えもない。
医者はそれを
感情の摩耗と呼んだ。
私は瓶を買った。
値段は安かった。
「途中で手放されたものです」
店主はそう言った。
家に帰り、瓶を開けた。
すると少し遅れて、幸福が体に入ってくる。
理由もないのに、空が明るく見える。
通りの匂いが懐かしい。
知らない
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