中古の幸福/後期
 
た。

「中古ですから」

「幸福ですよ」

「ええ」

それだけ言った。

「幸福って、
 中古になるんですか」

「人が使えば、
 大抵そうなります」

なるほど、と思った。

私の幸福も、どこか擦り減っている。
いや、擦り減るほど使った覚えもない。

医者はそれを
感情の摩耗と呼んだ。

私は瓶を買った。

値段は安かった。

「途中で手放されたものです」

店主はそう言った。

家に帰り、瓶を開けた。

すると少し遅れて、幸福が体に入ってくる。

理由もないのに、空が明るく見える。
通りの匂いが懐かしい。
知らない
[次のページ]
戻る   Point(3)