誤読/後期
 
た。

 怒るということは、自分の中にその人物を見つけたということだ。誤読は自己発見装置である。

 私はさらに実験を続けた。

 主人公の性別を明示しない。
読者は自分の性別を押しつける。
 中には「両性具有の象徴だ」と論じる者も現れた。

 私はどれも否定しない。

 なぜなら、書かれていない部分は読者の所有物だからだ。

 誤読は奪取である。
 読者は空白を奪い、自分の意味で埋める。

 だが奇妙なことに、私自身も誤読している。

 自分の過去の作品を読み返すと、「こんなことを書いた覚えはない」と思う。
 それでも確かに私の文章だ。

 では誰が書
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