誤読/後期
「これはフィクションである。実在の人物・団体とは一切関係がない。」
すると読者は安心して読んだ。
安心すると人は疑わない。
次の版ではこう書いた。
「これは事実である。」
今度は皆、疑いながら読んだ。
疑いながら読むと、どんな文章も陰謀に見える。
同じ本文なのに、評価は真逆になった。両陣営が私を味方だと主張し、
その結果、私は両方から訴えられた。
つまり誤読は本文の問題ではない。
姿勢の問題である。
ある読者が言った。
「先生、この主人公はあなたですね?」
私は答えた。
「あなたです。」
読者は怒った。
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