不明/後期
、安心を保証するためにある。
だが制度は、個人の輪郭を必要としない。
必要なのは年齢と性別と身長と住所であり、
それ以上のものではない。
だから人は、ときどき、あまりに整った言葉の中で、静かに薄くなる。
怒りも絶望もなく、ただ摩耗する。
誰も騒がない。
誰も探さない。
なぜなら、記録上はそこに存在しているからである。
行方不明とは、記録から消えることではなく、
記録の中だけに存在することなのかもしれない。
そう考えると、「無事見つかりました」という放送は、奇妙な響きを持つ。
見つかるとは、何をもって見つかったというのか。
呼吸か、脈か、それともただ
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