客人/後期
些細な過ちを、いつまでも胸の中で繰り返す。友人への猜疑も、私への冷たい言葉も、すべて覚えている。そしてそれを物語に変える。
物語にすれば、消えると思っているのかもしれない。
だが消えない。
夜、灯りを消したあと、闇の中であの人の呼吸が荒くなることがある。私は隣で目を閉じたまま、その気配を感じる。声は聞こえない。けれど、何かがあの人の胸の奥で囁いているのだろう。
私はそっと手を伸ばす。
あの人の背に触れる。
身体は妙に温かい。
それだけは確かだ。
客人がいるなら、ここにはいない。
血の通うこの身体の外にはいない。
だが、あの人はそれを信じない。
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