客人/後期
だが真実は、書けば書くほど、書き手に返って来るのではないか。私はそう問いかけたくなる。
ある夜、あの人は鏡の前に立ち、長いこと自分の顔を見つめていた。私は襖の陰からその姿を見ていた。鏡に映る横顔は、ひどく疲れていた。
「お前は臆病者だ。」
小さく、そう呟いた。
私は噛み殺した。誰に向かって言ったのか。鏡の中の自分か、それとも私か。
あの人は優しい。
少なくとも、かつてはそうだった。
だが優しさは、ときに人を責める。
正しくあろうとする気持ちは、他人より先に自分を断罪する。
客人とは、赦さない心なのですか?
あの人は自分を赦さない。
些細
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)