おじいさんのクリスマス/板谷みきょう
駅前広場の時計塔の下では、
今年も社長さんが贈り物を配っていました。
おじいさんは、そっと人々の胸元を見つめました。
けれど、花は見えません。
世話をしてくれた近所の人の胸にも、
店に来ていた子どもたちの胸にも、
花はありませんでした。
おじいさんは、雪のなかを力なく歩きました。
(わしは、誰の役にも立っていなかったのだな。
誰からも、必要とされていなかったのだ)
日が暮れました。
おじいさんは、自分の部屋へ戻りました。
「……誰の胸にも、花はありませんでした」
おじいさんは、静かに目を閉じました。
すると、あの光の声がささ
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