おじいさんのクリスマス/板谷みきょう
間に、買い物をし、
薬を運び、部屋をあたためました。
「お互いさまだよ」
そう言いながら、みんなは帰っていきます。
おじいさんは、うすく目を開けて天井を見つめました。
(わしは、何も返せていない。みんなに、もらってばかりだ)
クリスマスイブの夜。
部屋の隅に、やわらかな光が差しました。
「願いを一つだけかなえてやろう」
光の中の声が言いました。
おじいさんは、少し考えました。
「……明日の朝、わたしを必要としている人の胸に、
わたしにだけ見える花を咲かせてください」
*
翌朝。
おじいさんは、重い体を起こして町へ出ました。
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