おじいさんのクリスマス/板谷みきょう
きなチョコレート工場の社長さんです。
クリスマスになると、駅前広場の大きな時計塔の下に、
立派なツリーを立てて、工場のあまくておいしい
お菓子をたくさん配りました。
新聞には、こう書かれます。
――町のために尽くす立派な人。
人々は拍手を送り、社長さんは満足そうに微笑んでいました。
けれど、カメラの列が去り、広場に一人になったとき、
社長さんはふうと、重い溜息をつきました。
その横顔は、
誰にも見られぬまま、雪のなかに消えていきました。
*
その冬、おじいさんは病に倒れました。
近所の人たちは、交代で世話をしました。
仕事の合間に
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