おじいさんのクリスマス/板谷みきょう
 
きなチョコレート工場の社長さんです。

クリスマスになると、駅前広場の大きな時計塔の下に、
立派なツリーを立てて、工場のあまくておいしい
お菓子をたくさん配りました。

新聞には、こう書かれます。

――町のために尽くす立派な人。

人々は拍手を送り、社長さんは満足そうに微笑んでいました。

けれど、カメラの列が去り、広場に一人になったとき、
社長さんはふうと、重い溜息をつきました。

その横顔は、
誰にも見られぬまま、雪のなかに消えていきました。



その冬、おじいさんは病に倒れました。

近所の人たちは、交代で世話をしました。

仕事の合間に
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(1)