詩を書かずに眠る夜がある/白
若い頃はこの世に自分の欠片が、砂糖ひとつぶでも残れば良かった。私にとって、生きるということは、それぐらいの些細なのだ。目が覚める。お茶碗にご飯粒を一つも残さずに食べ終える。味噌汁の溶け残りを残す。アイスクリームのコーンを食べる。ココアにマシュマロを浮かべて、バナナを焼く。紅茶を淹れて牛乳を注ぐ。
この世に砂糖ひとつぶも自分が残らなくても、良いと思う時がある。自分よりも幸せな人を知る時。その幸せをぶち壊す自分という悪夢が消えてしまえばいいのに、と。憤怒ではない。嫉妬でもない。あまりに静か過ぎて、それに絶望という以上に相応しい言葉を与えた詩人はいないのじゃないかという気がする。彼の前からいなくな
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