ユウスケの御託/田中教平
 
ウスケは感化された。
カナは学園ものもハードボイルドもお手の物だった。しかし、先に奨励賞を受賞した作品は私小説だった。ユウスケは何を考えたか、『私小説でなければならぬ』と頭から自身の創作の方針を決めてしまった。
 ユウスケは最初、段落分けもどうしたらいいのか分からないほどだったから、細かい所はすべてカナに訊いて覚えた。
「ちょっと待ってて。靴下履いてくるから」
とユウスケは告げて、一階書斎から二階に向かった。靴下を穿いて、まだ外は寒いと思い、紺色のセーターを上から着た。
 ふたり小道から幅の広い道に抜け、更に大通りに出るとすぐ、コンビニがあった。
 ふたりATMでマネーロンダリングじみ
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