ユウスケの御託/田中教平
 
を好んで読んでいた一時期があった。そしてそれらの書物を仕事に活かそうとしていた節がある。自己啓発書は、カナの一面を主張する者に変えてしまったような気がユウスケにはしていた。丸みを帯びているべき所が角ばっている。しかし、それも彼にとっては愛らしかったのであった。
 カナも書斎に来てノートパソコンを立ち上げた。
「ねえ、昨晩、残しておいたパン食べた?」
「昨日は夜更かしして、そのときに食べてしまった」
 弱々しくユウスケは応えた。彼は全くその事について、今、反省していた所だった。と云うのも胃の調子が悪い。朝から何種類もの薬を、カクテルに飲んでいるせいというのが日頃の不調の見立てであったが、今日
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