脂喰坊主と十人の詩人/AB(なかほど)
 



 すっかり忘却れてしまつたのだ
 さびしんぼうの病める夜が
 体育の如くひざをかかへてゐた。
 翌朝
 鏡の中の眼球は、腐つた苺のやうに赤かつた。




 忘却の澱をなめつくした獏、
 その獏をまるごと喰らふ僕。
 さらに僕を嚥下する獏。
   そんな夢の、そのまた夢の。
 僕と獏が、等しく記憶を去勢されるほうがまだましだ。


キルクル

 「忘れ……、忘レラレル、」
 なんて! 思っちゃいけない!
 首を! 黄金の旋回! ニカッ!
 キルクルは、……やさしい、
 垂直の、……カゼ、なのかもしれない。


スコット

 あ
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