凄いぞ!TOP10 「立春前」本田憲嵩/室町 礼
 
き手にしかわからない思い込みの「冷酷な
素顔」だから読む方はこの断定的な比喩についていけません。
この詩のどこにも冬が「冷酷な素顔」を持つ必然や根拠が書かれて
いないから自分だけにわかっている、あるいはテンプレートとし
ての冷酷な素顔をぽんと置いただけになっている。

次に?
自己表出の強度(「世界」ではなく「ぼく」の切実さ)について
いえば
「手袋を履いたぼくの指先」は出てくるが、その身体感覚がどこ
まで切実か、なぜその瞬間が忘れがたいのか、といった「ぼくの
内側の裂け目」がほとんど描かれていない。
冬の冷酷さ、小春日、仮面──すべてが「季節の気分」の中に収まり
、主体
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