雪国/月乃 猫
 
陽の光
比重をました 黒い海

誰もが誰もを知る街は、
東アジア人など一人もいない、
存在理由をいぶかられながら、
生きる


温室となした ぬるま湯の島国を離れ、
山を捨て去った
大陸は、
針葉樹の森に覆われ、

振り向かぬように
気づかぬように
泣き顔の 父をあとにした


出会った
男は、雪女の話か、
子供を捨てた母の話か、
異形のものを見る目でも
好奇の眼差しでもなく
まして、哀れみのそれでもない
熱情を宿す目で あたしを
抱きしめた

太い男の腕の強さに 同類の物の怪の何かが
本当にあったのか
だから 添い遂げたのか、
後悔の
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