一日半/田中教平
 
もなく暮らしている。
 ユウスケはきっとそんな事を最低限でも証明したくて、小説なり詩歌なり書き、この地域の新聞が取り上げてくれる、市のコンテストに応募していたのだと、自覚した。
 カナの精神病はユウスケより重度だった事もあってか(毎日三回を限度とした頓服薬の使用が欠かせない)、より切実な表現欲求であり、カナにとって小説とは自己に向かってくる刃を受け、それをはねのける盾のようなものだった。
──「五十一番さん、中待合室どうぞ」
 カナはその後、診察室に通され、ユウスケも後を追っていった。
そのとき、計測した限り、カナは三十六度四分で、熱は無かった。鼻の粘膜からウィルスの感染を調べる検査も行
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