大寒の頃/田中教平
 
賞作、などを気にかけながら本を選んでいたのだが、カナは
「ユウスケ、この本の後ろの所に、何刷、って書いてあるでしょう?その数が多いものを選ぶのよ、ロングセラーだし、それ相応の価値があるってもんだわ」
と言ってユウスケに小説を選ぶ心得を教えた。ユウスケは流石、大学出身は違うな、とカナの選んだ本のチョイスを目で追いながら思った。
 そうしてまとまったお金があったので、カナは九冊文庫本を買った。暇を見つけてはその本を読み、ついに読破してしまうと、自然、カナは小説が書きたくなってきた。
 まずはあらましをキャンパスノートに手で書いていった。カナの字は綺麗だった。
 あらましを書いて、加えて謎解き
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