大寒の頃/田中教平
らない。しかし、カナの方から一体幾ら、口座に残しておけばいいのか、そういった相談を受けた事は無かった。
年末年始は、どうしてもお金の出入りが激しいのでいいとして、ユウスケは、二月までにはこの話をカナとじっくりしなければならないと考えた。
カナは東京にある大学の出であった。それが、不運が重なり、地元N市にユーターンすることになってしまった。カナがユウスケに語る昔話の多くは悲哀に満ちたものだった。
何より、移動を繰り返す度に人との別ればかりになってしまう。カナは自分から人を切った、というが、あっちへ向かい、こっちへ帰ってきた身は必然的に孤独になると言って差支えがない。
夫がユウスケ
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