大寒の頃/田中教平
為には、長時間の睡眠が必要だった。つまりカナが風呂に入らない分、ユウスケの入眠が遅くなるわけで、ユウスケは歯がゆい思いをして、カナの文庫本コレクションの中から適当な小説を読むなりしている。
これはカナの文庫本コレクションでは無かったが、織田作之助著「夫婦善哉」という短編小説にユウスケは痺れた。そして小説を書ける人の頭の中はどうなっているんだろうと思った。
この日、ユウスケはパソコンで作業しているカナの背の後ろに立って何をしているのですか?と訊いた。
「あ、わからない?小説を書いているのよ」
秘密を言うようにカナは言った。ユウスケはカナのパソコンのウィンドウを覗こうとしたが一言
「駄目
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