夜明け/よるもと
 
 だって だってそんなふうに言ったことなんて相手はきっともう覚えていないよ それに きざな言葉にはり合うように同意をしてくれるいい子だったじゃないか‐‐‐朝がくるたびに、その回想ごと連れてくる路面電車のちいさな車輪が あさい線路とこすれてやっかいな音を立てる うるさい うるさいんだよ朝の電車は うるさいけれどその分の思い出も詰まっていて やっかいなんだよ。

  そして三センチめの青空が差しかかるまえに、殴られるような現実のワンルームの空気で呼吸をしなければならない 〈ソレ〉になれないのにどうしてここに居なくちゃならないんだよー〈ソレ〉になれないのにどうして、というだだを捏ねて、どうにもならな
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